賃貸物件を探すとき、条件や家賃、間取りなど様々な情報に目が行きがちですが、実は「用語の意味」や「初期費用の項目」をきちんと理解することが、とても大切です。
不動産情報ポータルサイトや物件概要書には専門用語が多く使われているため、初めてお部屋探しをする方にとって「これはどういう意味?」と疑問に思う内容も少なくありません。
今回は、“初めての部屋探し”をする方に向けて、物件探しでよく使われる「物件概要書」の読み方と、「ここは要チェック!」という注意点をわかりやすくお伝えします。
【そもそも「物件概要書」って何?】

「物件概要書」は、新しい住まいを探すときに物件の詳細情報を知るための“設計図”のようなもの──。
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物件の 種類(マンション/アパート/一戸建てなど)
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築年数、構造、面積、部屋の向き、最寄駅からの徒歩時間 などの “条件”
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契約の種類(普通賃貸借か定期借家か) や 入居可能日
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そして 礼金・敷金・仲介手数料・保証料・保険料など の初期費用の目安
こうした情報が一覧でまとまっており、入居前に「この部屋、本当に大丈夫?」を自分で判断するための重要な資料です。
【用語の意味】
物件概要書や不動産情報ポータルサイトで使用されている代表的な用語と意味についてまとめました。
1.建物構造
建物の構造は主に次のように分類ができます。
| 構造種別 | 表示 | 内容(概要) | 詳細(階数・耐震力・耐火力・防音性) |
|---|---|---|---|
| SRC造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 鉄骨+鉄筋+コンクリートで構成。最も頑丈で高層マンションに多い。 | 階数:高層建物(6階以上)
耐震力:特別強い 耐火力:強い 防音性:強い |
| RC造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄筋+コンクリートで構成。中層マンションに多い。 | 階数:6階程度
耐震力:強い 耐火力:強い 防音性:強い |
| ALC造 | 鉄骨造 | 鉄鋼材で構成。以前は工場などに多かったが、近年はマンションにも採用。 | 階数:居住用建物では6階程度
耐震力:強い 耐火力:普通 防音性:普通〜弱い |
| 軽量鉄骨造 | 軽量鉄骨造 | 軽い鉄骨を使用。プレハブ住宅やアパートに多い。 | 階数:3階程度
耐震力:強い 耐火力:普通 防音性:弱い |
| 木造 | 木造 | 木材で構成。ツーバイフォー工法も含む。アパートなどで多い。 | 階数:3階程度
耐震力:普通 耐火力:弱い 防音性:弱い |
2.築年数
物件が建てられてから経過した年数のこと。
1981年に建築基準法が改正され、1981年以降に建築された建物は「新耐震基準」に適合している建物になります。
3.入居可能日
入居できる日にちが記載されている場合と「建築中」「即入居」「空き予定」「リフォーム中」など、物件の現在の状況が記載されている場合があります。
即入居だと1週間前後、空き予定だと前の入居者が退去してから1週間から2週間、リフォーム中だと1~2週間程、リノベーション工事中だと1~2ヶ月程で契約になるケースが多いので、自分の入居希望日と照らし合わせましょう。
4.駅からの時間
一般的には80mを1分と考えて計算されています。
ただし登り坂の道だったり、途中大通りを通過する、踏切を渡るケースが発生することもあるので必ず自分の足で歩いて確かめることも必要です。
5.敷金・礼金
礼金は契約時に入居者が大家さんに支払う金銭。退去時に返金はありません。
敷金は万が一の賃料滞納時や、入居者が部屋を破損させた時の修理費の担保として、大家さんに預け入れる金銭です。退去時は原状回復後に精算をして、入居者に返金されます。
また、敷引き〇ヶ月、と記載がある場合は退去時に返金されない敷金の金額になります。
6.火災・家財保険料
入居中に起こしてしまった火事や水漏れを補償するための保険です。入居者が契約者となり保険に加入するのが一般的で、1年または2年間の契約期間が多いです。
7.保証料
連帯保証人の代わりに保証会社を利用する場合に支払う金銭です。
8.フリーレント
一定期間賃料が無料になります。(例)フリーレント1ヶ月の場合、フリーレント開始時期から1ヶ月経過するまでは家賃を支払う必要がないです。
【設備について】
建物に付帯している設備を表示してあります。建物の設備には次のような種類があります。
| 設備の場所 | 設備名称 |
|---|---|
| 建物の共用部分に関する設備 | エレベーター、オートロック、ゴミ置場、駐車場、駐輪場、BSアンテナ、CSアンテナ、CATV、LAN、宅配ロッカー |
| 部屋に関する設備 | システムキッチン、IHクッキングヒーター、給湯、コンロ、浴室乾燥機、追炊機能付バス、エアコン、床暖房、照明器具、ウォシュレット、TVモニター付インターホン、セキュリティシステム、トランクルーム、ウォークインクローゼット |
部屋に付帯している設備が物件情報に全て網羅されているとは限りません。
こだわりたい設備が「設備」欄に記載がなくても、念のため不動産会社へ確認してみたほうが良いかもしれません。
【間取図】
間取り図面を見る上で重要なポイントは、動線及び家具家電のレイアウトを確かめることです。
動線とは、日常生活を送る上で人が行動する経路のことです。
また、家具家電のレイアウトの確認も重要です。ソファやベットなどの大きい家具を設置するスペースがあるかどうかの確認も、間取り図面を見ることで行うことができます。
朝起きてから夜眠るまでの1日の生活をイメージしてみて、どのような間取りが自分には合うかを考えると判断しやすくなるでしょう。
不動産屋さんは間取り図のコピーをくれますので、引越が決まったら寸法やコンセントの位置など細かいことを記載して家具の配置をイメージしておくのもいいです。

1.キッチン
コンロはガス仕様のものと電気式のものがあります。コンロが備付けのシステムキッチンと、入居者がコンロを用意して置くタイプがあります。
2.浴室
トイレと浴室が別のもの、トイレと浴室が同室の3点ユニットバスがあります。
3.洗面所
独立洗面台、室内洗濯機置き場などがあります。
4.洋室
洋室〇帖といった記載があることがありますが、各不動産会社が厳密に部屋の床面積を計測して帖数に換算していることは稀ですので物件によって部屋の大きさが異なります。
部屋の大きさは自分の目で確認することが重要で、内見時に採寸してみると良いかもしれません。
5.間取タイプ
間取タイプは1K、2DKなどと数字とアルファベットの組み合わせで表示されています。数字は居室の数を表しています。
例えば2DKの場合にはダイニングキッチンの他に2つの居室があるということです。アルファベットの表示はそれぞれ次の内容を表しています。
| 略称 | 意味 | 説明 |
|---|---|---|
| K | キッチン | 台所を表しています。 |
| DK | ダイニング・キッチン | 食事室兼台所として使用できる広さの部屋を表しています。 |
| LDK | リビング・ダイニング・キッチン | 居間・食事室兼台所として使用できる広さの部屋を表しています。 |
| S | サービスルーム | 納戸・物入れを表します。十分な広さがない部屋や、窓がない/小さい部屋は居室ではなく納戸として扱われます。 |
6.バルコニー
日当たりやバルコニーからの眺望は現地確認。
バルコニーの方角によって、東は午前中日当たりがよく、南は一日中、西は夕方が日当たりがいいです。
~初めて部屋を借りる方でも、物件概要の内容を押さえておけば「失敗した」「思っていたのと違った」と後悔するリスクを大きく減らせます。
皆さまの新生活が、安心・快適なものになりますように~
